場長就任にあたり
--- 工業試験場長 土 肥 淳 一 ---

 この4月に工業試験場の場長を拝命し, 約3ヶ月が経とうとしております。 この間, 業務全体の把握に努めていることは勿論でありますが, 県商工労働部在籍中から企業の方々と意見交換をする中で, 「モノづくり」 の将来について懸念を抱いておりました。
 ご存知のように, これまで日本の製造業は欧米に追い付け追い越せと全力を尽くし, 20世紀後半には所得も増え生活が豊かになりました。 そして, 技術も成熟したとの勘違いから我が国の新技術や新製品の開発が伸び悩んでいる間, 中国を初めとする東南アジアの諸国が高度成長を成し遂げ, 日本から労働集約型産業を中心に生産をシフトさせ, その結果日本の産業空洞化が危惧されています。 更に, 景気低迷が続き企業の経営環境が悪化し, 現在研究部門が縮小され, また技術の継承も難しいものがあります。
 日本, そして本県産業もこれまで 「モノづくり」 で生きてきましたし, 今後も生き残っていくためには, 多品種少量生産・短期化に対応できる生産体制づくり, 高付加価値製品づくりのための高精密や超高速加工技術等の修得が急務となっております。 そこで, 工業試験場でもそれを支援するため, 「設計・試作から生産・評価までの一貫したモノづくり技術支援」 を再構築することとし, この6月補正予算で, 開放機器等のハード面はもとより, オペレーター・ノウハウ指導などソフト面に至るまで充実させてまいることといたしました。
 また, 工業試験場がどのような研究分野に取り組むかにつきましては, 県内企業や大学等が有する技術分野, 技術力, シーズを今一度分析するとともに, 求められている社会ニーズ・課題をより明確にし, 戦略性を高めていくための措置も講じたところであります。
 新たな世紀は, グローバル, 少子・高齢化の時代, 地球環境重視, そして責任ある地方分権社会の到来といわれております。 このような時代背景の中で全職員, 社会ニーズを充分肌で感じながら, 産業界の発展はもとより, 県民生活の向上に少しでもお役に立つよう努めてまいる所存であります。 従来にもましてのご支援・ご協力をお願いいたしまして, 新任のご挨拶といたします。



* トップページ
* 技術ニュース
* 次のページ