平成20年度研究外部評価(事後評価)


整理番号 テ ー マ 名 評価点 総合評価
08−C3 組織制御による鋳造品の高強度化の研究  10.4 B
研究期間 平成17年度〜平成19年度(3ヵ年)
研究概要 新材料であるマグネシウム鋳造材の高付加価値部品の製造技術の支援を行った。また、材料費高騰の中、低コストのアルミニウム合金材を対象とし、熱処理による高強度化の検討を試みた。さらに、県内の鋳造業界への鋳造シミュレーションの新規適用を進め、技術レベルの向上を図った。
 結果は以下の通りである。
@マグネシウム合金鋳造材の組織微細化による強度の向上
 小型溶解炉を用いて学術文献で報告されている各種結晶粒微細化添加元素の実用性を検討した。金属組織観察、機械的性質等で評価した結果、機械的性質の向上に有効なものを見いだした。この結果をもとに、現在、技術移転先企業の実操にて製品の鋳造を行っている。
A鋳造用アルミニウム合金の熱処理による高強度化
 小型熱処理炉を用いて、各種熱処理条件におけるアルミニウム合金鋳造材の時効硬化特性を検討した。その結果、低温で長時間焼きもどすことよって、引張強度と伸びがバランス良く向上し、目標とした機械的性質が得られ、実生産における最適条件決定の指針とした。
B鋳造シミュレーション技術(IT技術)を活用した鋳造技術の高度化
 鋳込み時に混入した介在物追跡鋳造シミュレーション解析を応用し、実製品での鋳造欠陥の発生状況を比較検証し、最適鋳造方案の提案を行った。現在まで、10社の企業が鋳造シミュレーションを利用し、うち7社は工試主催の研究会にて活用事例の報告を行った。

外部評価委員のコメント

 ・企業からの要望に答える形での研究は、今後も大いにやっていただきたい。そういう意味では現場密着型の研究は評価されるべきだと思う。
 ・企業とさらに結びついて、企業の求める品質目標をさらにはっきりさせて、達成していって下さい。
 ・話をわけないとテーマピントがぼけてしまう(鋳造と熱処理)。何が問題でどうしたいのか、いま一つ明確でない。
 ・資料と説明がちがいすぎる。出せない資料以外は出してほしい。評価できない。
 ・研究を進める上での理論付けが弱いように思う。
 ・添加物の役割を解析出来れば、新たな添付物のヒントが出て来るのではないか。
 ・鋳造シミュレーション研究会が計7回開催され、普及に勤めた努力の跡が見られます。
 ・Mg合金の高強度(約8%UP)実用レベルで達成できたことは地場産業界の競争力の向上に大きな効果があると思います。
 ・Mg合金は別の面では発火や水素発生等取扱いの面でも注意が必要です。機械加工後のスラッジ廃棄までを含めて指導をしていただけるようお願いします。
 ・目標が分散している。
 ・絞ったテーマだけでよいと思います。
 ・ここで開発された技術も移転の具体的内容を明確にした方が良いです。
 ・基礎的研究であるが、実用化への可能性と効果には大きいものがあるように思われる。
 ・見出した添加物はおもしろいアイデアだと思います。
 ・微細化についてのメカニズムをもっと深く追求するとよいと思います。
 ・アルミニウム合金については従来の熱処理の延長にあると思います。もっと新しいアイデアがあるとよいと思います。